2008年のスカイアクセス・北千葉道路

成田スカイアクセスが開通してからずいぶん時間が経った。いまは海外に飛ぶこともなく、時々格安航空会社で国内に行く時に使うくらいだが、開通前はとても楽しみにしていた。なにしろ当時、車を預けて海外便に乗ったのである。

スカイアクセスはあって当り前になってしまったが、北千葉道路は依然として工事途上である。東京側は千葉ニュー・白井間で止まったままだし、当時の森田県知事がやりますと言ってからずいぶん経った。高速道路に通じるのを私が見ることがあるのかどうか、たいへん微妙である。

以下は2008年年頭、16年前のブログに掲載した記事の最終回である。
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再び村に向けて入っていく。くねくねと曲がりながら登っていく道を5分ほど進むだけで、工事なんて一体どこでやっているんだろうという田園地帯になる。正月で工事も休みなので音もなく、鳥の声すら聞こえない。距離的に言って、工事が行われていれば結構うるさいような気がする。

しばらく行くと台地状になり、道が平らになる。農家が1軒と畑、上ってきた印旛沼側は竹林となっている。ここで、真新しい舗装道路を発見。1車線の狭い道だが、崖の方に伸びており行き先には家もない。工事現場に向かう道のようだ。 ここをたどっていくと、まさに工事現場であった。

下の写真にあるように、ここから高低差でいうと30~40m下まで、おそらく道路になるであろう工事現場となっている。印旛沼側からみると山が削られて茶色くなっていたのが、私がカメラを構えている地点になる。 そして、そこでそのまま180度振り向いて撮影したのが、次の写真である。この景色が、五十年近く昔、私が子供の頃を過ごした下総地域の代表的な田園風景である。

ご覧の通り、何もできていない。ただし、画面中央の何百mか先にブルドーザーが見えるから、おそらくここも近いうちに工事地域に入ってしまうのだろう。 私が子供の頃たくさんいた、めだかやたにし、蛙やどじょうやいろんな動植物が、ここにはわずかながら残されていたはずである。しかし、上の写真のようになったら、それも難しい。ちなみに、最初に書いた「吉高の大桜」は、この写真の右側の山の上を100mほど行ったところにある。

もちろん、環境だの自然だの言っているのは我々都会に生活する者の感傷のようなもので、ここにずっと住んできた人達にとって半日歩いても自動販売機一つないなんてことは不便以外の何物でもなく、広い道路や鉄道の開通による利便性の向上はそのまま生活の改善につながる。だから、豊かな自然をそのままに、なんていうのは一種の偽善なのであろう。

ただ、いま羽田空港の拡張にそれほどの障害(漁業権とか)がなくなり、国際線乗り入れの可能性が大きくなっている中、成田空港へのアクセスを改善しようというのは羽田との競争という側面が大きい。必要な開発ならば仕方がないが、もしかすると将来ほとんどの国際線が羽田から飛ぶようになって、この開発はムダだったということになる可能性はないのだろうか。

そんなことを考えながら2つほど山を越え、最初の国道464号線との交差地点まで戻ってきた。時間にして3時間弱。いいお散歩コースである。ただ、ここにコンクリートの支柱が林立するようになれば、歩こうという気にはおそらくならないだろう。あと2、3年でここが本当にそうなってしまうのか、折に触れて見に来てみたいと思っている。

村側の高台から印旛沼方面に向けて建設中の工事現場。
上の写真から180度振り返るとこうなる。昔から変わらない田園風景。
さらに山を2つ越えたあたり。こんな感じで工事が進められている。
p.s. スカイアクセスと北千葉道路の記事、バックナンバーはこちら

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