私の糖質制限事始め

いまランニングを日常的にできるようになって、この冬はハーフマラソン走れるくらいになったけれども、走れるようになったのは体重を減らしたからである。

ピーク時に比べると20kg体重を減らすことができたのは、糖質制限によるところが大きい。振り返りの意味もこめて、当時の記録をこちらのブログに上げておくことにしたい。いまから3年前、2021年3月の記事である。

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糖質制限を決心して最初にやったのは、炭水化物を減らすことであった。

朝食も夕食も奥さんが作ってくれるので、主食である食パンと白飯を抜きにした。朝は食パンの代わりに、奥さんがふすまパンを焼いてくれた。ふすまも糖質だが、精製された小麦粉ほどに血糖値を上げない。

昼食は各自調達がルールである。これまでは、インスタントラーメン、レトルトカレーライス、シリアル(コーンフレーク)を順番に食べていたけれど、これでは糖質過多である。インスタントラーメンとカレーライスはやめることにした。

コーンフレークは牛乳をかけると360kcal、糖質にすると60g以上あるので本来好ましくないが、ナトリウムやカリウムなどの微量栄養素があり、穀物には珍しくビタミンAを含んでいる。健康維持のためには摂った方がよさそうである。

そこで、糖質60%オフの「ごろっとグラノーラ」に替えることにした。これは、大豆を主原料としたシリアルで、糖質制限食のお墨付きである「ロカボマーク」が付いている。大豆が堅いのではないかと心配したが、結構食べやすい。

インスタントラーメンの代わりにしたのは紀文の糖質0麺である。スーパーに行くといろいろな種類を売っているが、値段は200円以上する。インスタントラーメンなら、中華三昧でも100円。それと比べると、一気に倍である。

糖質0麺の主な原料はおからパウダーとこんにゃくである。麺そのものに糖質はほとんど含まれないものの、スープに糖質が含まれる。とはいっても、1食10g未満であるので、1日130g以内のマイルド糖質制限なら問題ない。

ダイエット麺も、二十年前と比べると格段に食べやすくなっていると感じた。技術の進歩もあるし、それだけ多くの人が買うようになって競争も激しくなっているのだろう。近くのスーパーにたくさんの種類置かれているのも時代を感じる。

糖質0麺だけだと飽きるので、同じ場所に売っているスンドゥブ鍋も試してみた。豆腐とスープなので、基本的に糖質0麺と変わらない。問題は、糖質0麺同様高いことと、賞味期限が短くて買いだめできないことである。

レトルトカレーライスの代わりにしたのは、カレーのみレトルトである。レトルトカレーは安い時に買いだめしているので、糖質制限を始める時点で10個ほど残っていた。最初は、苦肉の策としてカレーのみ食べていたのだけれど、ある時、残り物や常備菜をご飯代わりにすればいいのではないかと気が付いた。

試行錯誤の末、鶏の胸肉を茹でて細かく割いたものとか、ブロッコリーやほうれん草を茹でてストックしておき、適当に皿に盛ってカレーをかけ電子レンジでチンするという方法にした。レトルトだけでも20g前後の糖質が含まれるが許容範囲内である。

基本的に、昼食は以上の3つ、シリアル、糖質0麺、レトルトカレーを日替わりにしている。他に、夕飯の残りとか、奥さんの作ったものを一緒に食べることもあるので、同じものぱかり食べなくても大丈夫である。

もちろん甘いものも控えるようにした。とはいっても、在庫を捨てるのはもったいないので、足りないカロリーを補充する意味も含めて昼食時にちょっとだけ食べる。12月なので、箱で買ったみかんもあったが、1日に2~3個までにした。

そんな具合で、糖質制限といってもそれほど徹底したものではない。それでも、1日当りの糖質摂取量は100g以上落ちたはずである。意外にも空腹はほとんど感じなかった。

サントリーウェルネスのDMイラストの食事風景、なにげに糖質制限食になってます。コロナ仕様隣り合わせだし。



さて、糖質制限の第一人者である江部先生によると、糖質は体にとって必須ではなく、足りない分のカロリーは脂肪とタンパク質でとれば問題ないという。

これについては、個人的には疑問符が付いている。人類500万年の歴史の中で、穀物を常食しているのは1万年に過ぎないというのはそのとおりだが、人間の歯も腸も肉食に適したものではない。雑食、主として植物から栄養補給していたと考えるのが普通である。

科学だって万能ではない。今後あるいは、炭水化物からしか摂れない必須栄養素が明らかになるかもしれない。そうでなくても、糖質制限が広い意味での偏食であることは間違いないので、体に有益な微量栄養素がとれていない可能性は否定できない。

そう考えて、糖質制限を始めてからサプリメントの摂取を増やした。これまでもマルチビタミンとかオルニチン、キューピーコーワは時々飲んでいたけれども、それに加えてマルチミネラル、DHA/EPA、プロテインを飲むようにしたのである。

マルチビタミンに加えてマルチミネラルをとるようにしたのは、穀物に含まれる鉄や銅、亜鉛、マグネシウムといった微量栄養素が足りなくなると思うからである。だから、一日何錠という推奨摂取量より全然少ない。多少ともとれていればいいと思うからである。

DHA/EPAは体内で生成できない必須脂肪酸で、脳組織の再生産にも重要とされる。糖質制限は報酬系と呼ばれる脳の機能に逆らうものなので、脳組織に役立つものは気に掛ける必要がある。これも、推奨摂取量より全然少ない。

プロテインは、食物からの摂取が減るたんぱく質の補填のためのものである。ブロテインというとドーピングをイメージしてしまうのだが、日本のプロテインは牛乳や豆乳からできている。なにせプロテインの2大メーカーは、明治と森永なのである(知らなかった!!)。

本やYouTubeでプロテインを勧める人はたいへん多く、糖質制限界のカリスマYouTuber・なおよキッチンもその一人である。彼女は糖質制限でアトピーがよくなったそうなので、説得力がある。

さて、前回述べた白飯、食パン、ラーメンの自粛とサプリメントの拡充で始まった糖質制限、最初の1週間で体重は3kgほど落ちた。

その間酒も飲まなかったので、糖質制限が効いたのか、節酒が効いたのか、どちらの効果でそうなったかは定かでない。ただ、毎朝計る血圧が、上下10程度確実に下がっているのに気がついた。

あと、体調で気づいたのは、歯や歯茎の痛みが少なくなったことである。治療中の奥歯とその周辺、時により反対側の歯茎がしみるように痛んで気になっていたのだけれど、糖質制限とともにそれがなくなったのである。

あと、奥さんに言われたのは、寝ている時に息がくさいのがなくなってきたということである。自分では気が付かないし、奥さんも「かわいそうだと思って言わなかった」そうなのだが、寝ている時に特に臭かったそうなのである。

糖質制限も一種の偏食なので、足りない栄養素について考慮する必要がある。


ダイエット全般にいえることだが、糖質制限も長続きさせることが最も大切である。1日に350gも400gも糖質をとるのがいけないのであって、毎日130g未満に抑えなければ意味がない訳ではない。

努力目標として130gを意識するとしても、毎日それを守るのはストレスが大きい。仮に200gとったところで、これまでに比べると100g以上減らしているのである。また次の日から130gでがんばればいいことだ。

これをダイエット用語でチートデイと呼ぶ。、cheatはだますとかズルをする、という意味。WEBをみると「体を騙す日」という解釈も載っているけれど、個人的には「ズルの日」の方がいいと思う。

ダイエットを長続きさせるためには不可欠とされる方法で、1日だけ食べてはいけないものを食べてうっぷん晴らしをするという趣旨である。糖質制限でも、しばしば用いられる。

炭水化物やお菓子、清涼飲料を絶ったとしても、ある程度日数が経てば慣れてしまう。酒についても同様である。ただ、そのままずっと過ごすことは難しいし、リバウンドしたら大変である。意識的に1日だけ摂って、また翌日からがんばるというのは悪い方法ではないと思う。

糖質制限のパイオニアである江部先生によると、糖質制限と呼べるのは1日摂取量130g以下である。しかし、糖質制限しない場合の350gと比べるとかなりの差がある。切りのいいところで、200gまでの70g。その70gは、チートデイとして余分に摂取しても許容範囲内であろう。

実践編の最初で触れたシリアルはその範囲だし、たまには夕食でパスタも食べてみたい。全粒粉スパゲティなら、それほど急激に血糖値を上げない。

好物のお汁粉は、奥さんがラカントを使って作ってくれる。小豆だけの糖質なら、十数gくらい。みかん1個もそのくらい。糖質制限では果物はアボガド以外ダメというのが大方の主張だが、白飯に比べれば大したことはない。

私の場合、特に酒である。その気になれば1週間10日飲まないのは何でもないが、かといってずっと飲まないのは寂しい。糖質制限前のように週に3~4日は飲みすぎとしても、週2回くらいは許容範囲であろう。

ところで、糖質制限中の酒というと、江部先生の本には焼酎やウイスキー、ジン、ウォッカなどの蒸留酒には糖質は含まれないので、糖質制限中でも控えなくていいと書いてある(江部先生自身、毎日晩酌するそうだ)。個人的には、これはどうかと思う。

というのは、アルコールには1日摂取量の推奨値というのが定められていて、日本酒だと2合である。日本酒2合の糖質は20g程度で、白飯お茶碗半分ほどである。その程度ならば、チートデイとして許される範囲ではないかと思う。

体に悪いのは糖質だけでなく、脂肪のとり過ぎもよくないし、アルコールはもちろんよくない。糖質がないからといって焼酎を毎日ボトル半分飲んでいたら、アルコール依存までの距離はそう長くない。

ということで、私のチートデイは、好きなお酒を適量飲むということにした。その場合でも、白飯や糖分を控えることは変わらない。お刺身を肴に日本酒、チーズや肉料理を肴にワイン、あくまで適量が大切である。

ビール類はこれまで淡麗生を飲んでいたが、一番搾り糖質0に替えた。糖質0は発泡酒や第3第4のビールにたくさんあるけれど、飲んで一番おいしいのは一番搾り糖質0である。値段も普通の一番搾りと変わらない。

そもそも、ビール系を飲むのは最初の一本だけで、あとはスピリッツ系をゆっくり飲むのが本場の飲み方である。この歳になって、ようやく大人の飲み方ができるようになってきた。

私にとってのチートデイはやっぱりお酒。糖質制限を長続きさせるためにも、多少の気晴らしは必要です。ただ、ビールは一番搾り糖質0に替えました。


糖質制限を始めて4週間目、微妙に体調に違和感がある。体がだるくて節々が痛むし、手足に力が入らない。

それまでの3週間は特に空腹を感じることもなかったし、パワーが出ないとも思わなかった。しかし、この時は違った。風邪の引き始めとよく似た症状で、どうにもだるくて仕方がない。

加えて、メンタルの調子があまりよくない。気が滅入って、もうどうでもいいというような捨て鉢な心持ちになる。前向きに何かに取り組もうというやる気が起きない。

後から考えると、これが禁断症状の第一歩だったのだろう。というのは、この症状の出た2、3日後から、体重が1kg以上がくんと減ったからである。

糖質制限を始めて3週間で3kgほど落ちてはいたが、不快な症状が出る前は下げ止まっていた。糖質制限とともにアルコールも減らしていたので、3kg程度は減っておかしくない。それ以上となると、糖質制限によって生じた新たな局面となる。

おそらく、糖質制限でいうところの、ブドウ糖回路からケトン体回路に代わる時期で、体内に蓄えたブドウ糖では足らずに中性脂肪を燃やしてエネルギーを作るようになって、体調に違和感を感じるようになったものと思われる。

たびたび引き合いに出す江部先生によると、糖質制限で体調が悪くなるのはほとんどカロリー不足だということである。ただ私の場合は、おかずだけでも結構な量を食べているので、1日2000kcalは楽に超えていると思われる。

だから、おそらくこの違和感は、糖質が体に入ってこないことによる反応とみて間違いない。問題は、この反応が「体が求めるもの」か「脳が求めるものか」ということである。

糖質制限有害論の本には、「体が求めるものは必要に決まっており、制限するのは間違っている」という素朴な理由が書かれていることがある。その理由が成り立つのなら、アル中もポン中も体が求めているので、制限するのは間違っていることになる。

実は、それらの依存症は「体」ではなく「脳」が求めているものである。「脳」の要求というのはかなり強烈で、「体」が求める以上にいろいろな症状が出てくる。「脳」だから放っておけばいいというものでもない。

しかし、生物の歴史から明らかなように、脳ができるより先に腸ができたのである。腸だけで生きている生物はいるけれども、脳だけで生きている生物はいない。人間は脳の命令にばかり従うけれども、本当は腸のことをもっと尊重しなければならないのである。

内臓も、血管も、骨も、利害関係はどちらかというと腸に近い。神経は、どちらかというと脳に近い。だから、迷ったときには体の中の声によく耳を傾けて、どちらの要求なのかよく考えなくてはならない。

その時の違和感は、1晩ワインを飲んで寝たら、翌日には治まっていた。とすると、「脳」の指令だった可能性がかなり高いのではないだろうか。

糖質制限開始後まもなくの代表的朝食。食パンをやめて奥さんにふすまパンを焼いてもらいました。


p.s. 当時の糖質制限記事、バックナンバーはこちら